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美容外科を受診する前に

丸山院長より、美容外科を受診するすべての患者様に向けて、
知っていただきたいことをQ&A形式にまとめました。ぜひご一読ください。

Q 美容外科と形成外科は何が違うのですか?

A

形成外科の中に、美容外科も含まれています

形成外科とは「やけど」、「傷あと」、「口唇口蓋裂(こうしんこうがいれつ)などの先天異常」、「癌で切除した部位の再建」など、主に体の表面に現れている異常に対する治療を行います。美容外科は「二重まぶた」、「鼻の整形」、「若返り手術」など、その名前の通り美容のための治療を行います。“きれいにすること”を目的としているという点はどちらも共通で、形成外科という診療科の中に美容外科も含まれています。

美容外科と形成外科の違いイラスト

Q 日本では、美容外科専門医に簡単になれるのですか?

A

簡単になれる専門医と、米国並みにハードルの高い専門医とがあります

アメリカでは形成外科医は非常に人気の高い職業です。中でも美容外科医のハードルはさらに高く、形成外科医を長く修練しないと美容外科専門医になることはできません。
日本では「形成外科」と「美容外科」は別の学問のような風潮があり、形成外科を修練しなくても美容外科医にはなることができます。つまり医師免許があれば自己申告で、美容外科医になれてしまうのです。
あまり知られていないことですが、日本には2つの美容外科学会があります。1つは形成外科専門医を中心とした美容外科学会(JSAPS)、もう1つは医師免許を持っていれば入会できる美容外科医を中心とした美容外科学会(JSAS)です。
両学会にはそれぞれ専門医制度がありますが、その難易度に大きな差があります。JSAPSは形成外科専門医を取得して長期間の修練をした後、厳しい審査を通過し、ようやく美容外科専門医として認定されます。そのため、JSAPSの美容外科専門医に認定されているのは、日本の形成外科専門医のわずか10%。いわば非常に狭き門で、アメリカのシステムに近いと考えていいでしょう。
私はこのJSAPSの美容外科専門医として、責任を持って美容外科治療を行っています。

【美容外科学会(JSAPS)】→ http://www.jsaps.com/
【美容外科学会(JSAS)】→ http://www.jsas.or.jp

美容外科学会(JSAPS)のホームページ

美容外科学会(JSAPS)のホームページ

Q 美容外科で保険診療は可能ですか?

A

基本は自費ですが、機能回復が目的の場合は保険適用になることも

日本では混合診療が禁止されているため、原則的に美容目的の施術に保険は使えません。たとえば患者さまに次のような相談をされた場合、保険適応になるのでしょうか? 診察の流れを追いながら、順に説明していきましょう。

患者さまからのご相談:「目が開きにくい」

診察&診断:専門医は患者さまの訴えである、“目の開きが悪い原因”をまず探ります。原因としては次の2つが考えられます。

  • ① 加齢によって上まぶたの皮膚が余り、目が開きにくい
  • ② 上まぶたをあげる筋肉の働きが悪くなったため、目が開きにくい

①の場合

自然な老化によるもの。まぶたの皮膚のたるみを取り除くことで改善するので、美容目的の施術となり保険は適応されません。

②の場合

悪くなっている筋肉の働きを改善すれば、症状の改善も期待できるため保険適応になります。

つまり、治療の目的が「見た目の改善」なのか、それとも「機能の回復」なのかによって、自費診療か保険診療が決まるのです。

Q 美容クリニックによって施術費用が違うのは、なぜですか?

A

技術力や専門医の資格の有無などが費用の差に。
治療費で迷ったら即決しないことが大事です

美容医療は自費診療のため、治療施設ごとに自由に費用が決められます。施術費用の差は、各クリニックに所属する医師に高い技術があるか、専門医の資格を取得しているかなどによって生まれると考えられます。

もちろん「費用が安くて、技術力が高い」施設もありますし、その逆もあるでしょう。治療施設選びでは、まず明確な料金記載がされているかどうかをチェックするとよいでしょう。

またホームページや折り込みチラシに書かれた費用と、実際にクリニックを受診して見積もりを出してもらったときとで、金額に大きな開きがある場合は注意が必要です。施術費用や内容に少しでも疑問を感じたら、治療を受けるかどうかをすぐに決めず、一度持ち帰ってじっくり検討するとよいでしょう。

Q クリニックを上手に選ぶポイントを知りたい!

A

医師やスタッフの対応、クリニックの雰囲気も要チェック

インターネットを検索すれば、どんな情報でも簡単に手に入れられるので、逆にクリニック選びに迷う人も多いでしょう。技術力はもちろんですが、医師やスタッフ、クリニックの雰囲気も、治療施設を選択する上でとても重要な情報だと思います。ここではクリニックを選ぶときにチェックするとよい目安をいくつか挙げましたので、ぜひ参考になさってください。

  • 電話応対がしっかりしている
  • カウンセラーではなく、医師が直接カウンセリング・診察をしている
  • 説明する医師と施術する医師、アフターケアを行う医師が同じである
  • 医師が自分の行った症例を見せて、きちんと説明をしている
  • アフターケアがしっかりしている
  • 形成外科、美容外科、レーザーあるいは皮膚科の専門医である
  • カウンセリング当日には手術を行わない(治療を急かさない)

Q カウンセリングだけでも大丈夫?

A

もちろんOK、治療はきちんと納得してから受けましょう

大切なお顔やお身体に対する治療ですから、慎重になるのは当然です。医師の説明を聞いて納得できないようであれば、治療を受ける必要はありません。別の医師の意見を聞く“セカンドオピニオン”を希望するとよりよいでしょう。

また治療に関する説明を医師が行わずにカウンセラーにまかせる、施術や費用などについての説明が短い、質問をしにくい雰囲気があるなどの場合、そのクリニックで治療を受けるかどうか慎重に考えたほうがいいでしょう。

Q 美容治療を海外で受けても、大丈夫?

A

距離や言葉の問題で、アフターケアが十分に受けられない心配が

どんな治療にもリスクはつきものですが、海外で美容治療を受ける場合は十分なアフターケアを受けにくいのがデメリットと言えるでしょう。

近年、日本に比べて価格が安いことから、ツアーを組んで韓国などに施術に行かれる患者さまも増えています。しかし美容外科施術後に何らかのトラブルがあった場合、いくら近いとはいえ国内のクリニックのようにすぐに受診できない、言葉の壁があって意思疎通が明確に取れないなどのリスクを伴います。場合によっては、患者さまが不利な状況になり、泣き寝入りせざるを得ない可能性もあるでしょう。

大切なお顔やお身体を扱う美容治療は、費用にとらわれず、リスクをよく考えて治療を受けられることを願っています。

Q 二重まぶたにしたい。眼科と美容外科のどちらで施術を受ければいい?

A

どちらでも可能ですが、美容外科は見た目の美しさにこだわります

眼科と形成外科で、目の領域の治療は重なる部分が多くあります。違いは眼科では眼球の治療が主で、白内障や緑内障、角膜や網膜などを治療します。また「逆さまつげ」や「ものもらい」など、目の周りの組織を治療する場合もあります。

一方、形成外科は目の周り、特に眼瞼(がんけん)と呼ばれる上下の「まぶた」の組織を主に治療します。二重まぶたはもちろん、目の上や下のたるみ、眼瞼下垂の手術なども行います。

二重まぶたの治療は眼科、美容外科のいずれでも受けられます。治療後の仕上がりによりこだわって治療を行うのは、美容外科医だと思います。

Q エステの脱毛とクリニックでの脱毛、何が違うの?

A

脱毛は医療行為、医療機関のほうが安心でしょう

これは非常に難しい問題です。昔はレーザー治療器がなく、針脱毛が中心でした。人に針を刺す施術は医師や鍼灸師など、資格を有するものしかできない医療行為でした。しかし最近ではレーザー治療器が進歩し、安全で痛みの少ないレーザー脱毛が主流になりました。

これらのレーザー治療器は医療機関だけでなく、エステ業界にも販売されています。もちろん医療機関に導入されている器機より、効果はかなり落ちます。
エステでの脱毛で心配なのは、医師の指示のないまま無資格のスタッフがレーザーを照射している施設があることです。基本的に熱や光を発して治療をするレーザー治療は非常に危険で、使用方法を間違えるとやけどや色素沈着を引き起こし、大きなトラブルに発展する可能性があります。

こうしたトラブルが発生した場合は医療機関での治療が必須で、エステでは対応できません。しかも医療機関ではないことを承知した上で施術を受けているため、もしトラブルが起きた場合も自己責任となってしまいます。脱毛は医療行為ですので、医療機関でお受けになることをおすすめします。

ヒルズ美容クリニック 院長 丸山成一