ワキ汗と匂いの原因
脇の「におい」と「汗」は2つの汗腺に関係しています。エクリン汗腺はさらさらした「汗」を分泌し、アポクリン汗腺はフェロモンのような物質を分泌します。脇のにおいは、これらの分泌物が混ざりあい、細菌に分解されることで発生します。ワキの「におい」は、これらの分泌物が混ざりあい、細菌に分解され発生します。
当院では、ボトックス注射による一時的な改善治療と、手術による根治治療をおこなっています。手術による根治治療では、ニオイや汗の原因となるアポクリン腺を手術により取り除いていきます。ニオイや汗は施術した部位ではほとんどなくなり、傷跡もワキのシワに沿うため目立ちません。また、手術に抵抗があるなどの場合には、ボトックス(顔面痙攣やシワの治療に使われる注射)を用いる方法があります。ボトックスはあくまで一時的な改善なので、永久的に効果が持続するわけではありません。

ワキガ・多汗症チェック
- □ 緊張し、「汗」をかきやすい。
- □ 脇の「におい」が気になる。または他人に指摘されたことがある。
- □ 耳のアカが湿っている。
- □ 家族にワキガの方がいる。
- □ 毛深いほうである。
- □ シャツやTシャツなどの脇の部分に黄ばみが生じたり、濡れたりしている。
上記のうち、3つ以上当てはまる方はワキガや多汗症の可能性が高いといえます。ワキガ・多汗症治療は、ボトックス注射による治療と、手術による根治治療があります。どちらの治療を選択するかは「におい」や「汗」の程度や、患者様の意向によりますので、カウンセリング時に医師としっかり相談しましょう。
ワキボトックス注射 | 両脇 ¥100,000 |
ワキガ・多汗症 根治手術(反転剪除法) | 両脇 ¥400,000 |
ボトックス注射によるワキガ・多汗症治療
ボトックスとは、ボツリヌス毒素から抽出した成分のことで、ボツリヌス菌が作り出す”毒素”を大幅に弱めた薬です。
ボトックス注射は、エクリン汗腺の働きを弱める効果があり、「汗」の量が減るため、脇の「におい」が抑えられます。アメリカやヨーロッパではシワの予防・改善を目的とする美容療法でも人気のある治療の1つです。日本でも顔面けいれんなどの治療薬として、使用されてきた安全な薬です。また、化学処理も施されているので体内で繁殖する恐れはありません。
効果
1回の処置では、2~4日で効果を実感でき、6~8カ月間持続します。薄着になる季節だけ多汗を抑えたいなどの場合に適しており、永久的に効果が持続するわけではありません。
※効果の持続期間は個人差がありますので、ご了承ください。
施術の流れ
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1.脇を清潔にする |
2.脇を冷やす |
3.ボトックスを注射 |
脇の下の場合は、毛が生えている範囲に極細の針を使って注射していきます。痛みの程度は、注射針の挿入時にチクッと感じる程度で、短時間で終了します。
禁忌
基本的には人体に影響が無いのですが、次の条件に当てはまる人にはおすすめできません。
- (1) 過去にボトックス治療を施した際に、アレルギー症状が出た人。
- (2) 妊娠中、または授乳時期(出産半年)は避けた方がベストです。
- (3) ボツリヌス菌食中毒を経験した事のある人。
- (4) 神経系の疾患を持っている人。
- (5) 精神安定剤などボトックスの効果に対し、何らかの影響を及ぼす薬を服用中の人。
リスク・副作用・合併症
内出血、腫脹、発汗の左右差、異和感、効きが悪い、効きがよすぎる、 自分が想像していた結果と異なるなどが考えられます。
※ボトックスは、以前から顔面けいれんの治療薬としても使われているので、安全性に問題はないと言われています。ただし、注射という手技になることから医師の技量によって、上記副作用などが生じる可能性はあります。解剖学的知識と熟練した手技が必要になります。
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根治手術(反転剪除法)によるワキガ・多汗症治療
ワキガ・多汗症の程度が強い方に適応するのはやはり、手術による根治手術です。 根治手術(皮弁法)は局所麻酔でおこない、ワキの下の“しわ”にそって、約3cm切開し、原因となる汗腺をマイクロのハサミを使って丁寧に取り除いていきます。汗腺を取り除くと、ほとんど「におい」がしなくなります。また汗の量も減り、脱毛効果も期待できます。
施術の流れ
ワキガ・多汗症治療の根治手術は、「皮弁法(皮膚反転法)」という手法をとり、局所麻酔でおこなわれます。 ワキの下の“しわ”にそって、約3cm切開し、原因となる汗腺をマイクロのハサミを使って丁寧に取り除いていきます。
上のイラストにあるように、においの原因となるアポクリン腺を確実に除去していきます。また同時に毛根の処理も行えるので、脱毛効果も期待できます。皮膚を反転させ、確実にアポクリン腺がとりきれているか確認した後、剥がした皮膚をしっかりと固定(tieover:タイオーバー)します。
症例写真
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Before | After (4日後) | |
元々あるワキの下のしわにそって切開します。右の写真は施術後4日の状態です。まだ内出血のあとなどがみられますが、皮膚の色は良好です。 | ||
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After (4カ月後) | After (8カ月後) | |
傷口も目立たなくなり、引きつれも認めません。写真ではニオイ・汗がわかりませんが、この患者様はとても満足されていました。 |
※before & afterの画像は、参考画像であり効果や満足度は症例により異なりますのでご了承下さい
経過
抜糸は5~7日目で行います。ワキの傷跡はワキの下の“しわ”にそってなじんでいくので目立ちません。汗腺を取り除くと、ほとんど「におい」がしなくなります。また汗の量も減り、脱毛効果も期待できます。
リスク・副作用・合併症
内出血、腫脹、血腫、ニオイ・汗の残存、感染、皮膚壊死、腕の挙上制限、 感覚鈍磨、毛根の損傷、脱毛症、傷の哆開(しかい;傷が開く)、瘢痕形成(傷の肥厚や陥凹など傷跡が目立つ可能性がある)、瘢痕拘縮(引きつれ)、ケロイド形成、真皮縫合糸(中縫いの糸)が出てくることがある、縫合糸膿瘍、テープかぶれ、ドッグイヤー(傷の両端が盛り上がる)、自分が想像していた結果と異なるなどが考えられます。