本当にケロイド体質? 赤いミミズ腫れの傷


もともとの傷の範囲を超えて、赤みと盛り上がりが周りの皮膚に広がっていく特徴がある。
患部が赤く盛り上がるが、ケロイドとは異なりもとの傷の範囲を超えることはない。
よく赤く盛り上がった傷をケロイドと勘違いしている方が多いのですが、そのほとんどが肥厚性瘢痕です。ケロイドは好発部位があり、耳、肩、上腕、前胸部、下腹部で、原則として顔面には生じません。またケロイドの最大の特徴は傷の範囲を超えて広がっていくこと。たとえば「帝王切開の跡が広がって痛みがある」、「胸にニキビができて大きくなった」、「BCGの跡がつながり大きくなった」などという場合はケロイドです。
◆ 肥厚性瘢痕とケロイドの見極め
【肥厚性瘢痕】
傷の範囲を超えずに赤く盛り上がります。数カ月で赤みが引き、平らになります。肥厚性瘢痕は待てば改善しますが、改善しない場合は手術を行います。
【ケロイド】
傷の範囲を超えてミミズ腫れのように大きくなります。自然軽快は期待できず、痛みを伴うためにケナコルト(ステロイド)注射が有効です。手術は悪化する可能性が高いので、避ける、あるいは手術後に放射線を照射します。
◆ ケナコルト注射
ケナコルト注射は、ケロイドや肥厚性瘢痕の改善を目的としたステロイド治療の一つです。抗炎症作用により、瘢痕組織の過剰な成長を抑え、赤みや盛り上がりを軽減します。また、痛みやかゆみの軽減効果も期待できます。治療は通常、一定の間隔を空けながら複数回行い、状態を見ながら調整します。長期的な経過を考慮しながら慎重に施術を行います。異物や自家脂肪、FGFなどの成長因子注入後の膨らみに対し、ケナコルトを注射するケースもありますが、治療効果の確かなエビデンスはなく、凹みなどのリスクがあるため推奨しません。