凹んだ傷跡
傷跡修正の中で意外と多い症例がニキビや水疱瘡の跡、黒子などの切除後にできる『皮膚の凹み』(陥没変形)です。陥没変形は皮膚表面だけでなく、皮下組織もダメージを負っています。たとえば地下にモグラの巣があって地盤沈下を起こしやすい状態、あるいは十分な数の柱がないところに屋根が乗っているような状態です。皮下組織のダメージが少なければ、単純に縫合するだけで問題ありません。でも凹みがひどい、見た目以上に皮下の組織ダメージがひどい場合は、ヒアルロン酸注射やレーザー治療などの施術を行っても、効果は得られません。またせっかく縫合しても、柱がないために再陥没してしまいます。 このような場合は、耳介軟骨(じかいなんこつ)を移植する方法がベストでしょう。耳介軟骨は柔らかく、組織への適合性もあります。
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◆ 毛穴の開いている部分での黒子切除の注意点
鼻尖部や頬部は毛穴が開きやすく、皮脂がたくさん出ます。そのためこの部分は湿潤環境(湿潤環境は傷がきれいに治るための絶対条件)になりやすく、傷ができてもきれいに治りやすいでしょう。 しかし、時々凹んだ状態で治る場合もあります。それはニキビや水ぼうそうの跡、ほくろ(黒子)除去後です。もともと毛穴の開きが多く、さらに毛穴の部分の皮膚表面が凹んでいる状態で、強い炎症によって組織が破壊されると、いくら湿潤環境とはいえ凹んだ状態で治ります。
また、鼻尖部や頬部でもともと毛穴の開きが目立つ場合は、手術の際に毛穴の状態を意識してメスを入れる必要があります。たとえばほくろ(黒子を)除去する場合、イラスト左『凹む』のように毛穴のBottom(一番下)で切除して縫合すると凹みます。そのため、イラスト右『凹まない』のように、毛穴の縁で切除して縫合して凹む可能性を低くするのです。
※鼻尖部や頬部に縫合創ができる場合は、術前に凹む可能性があることをご理解ください。
※鼻尖部では、縫合直後の傷はとてもきれいですが、抜糸後に傷がジュクジュクして開いたように見えます。この時期に焦って再縫合しても、同じことの繰り返しになります。軟膏処置などを行い、湿潤環境をしっかり整えるときれいになるでしょう。
◆ 凹んだ傷跡の症例
case1凹んだ傷跡(左目尻の陥凹性瘢痕)の修正
原因は吹き出物の悪化。左目尻に広範囲の陥凹した傷跡を認めます。エステティックユニット(皮膚のシワ)に沿ってデザインし、傷跡修正(瘢痕拘縮形成術)を行いました。術後1年で、ほとんど目立たなくなりました。
◆リスク・副作用・合併症
【縫合による傷跡修正】
内出血、腫脹、感染、瘢痕形成(傷の肥厚や陥凹など傷跡が目立つ)、瘢痕拘縮(引きつれ)、ケロイド形成、真皮縫合糸(中縫いの糸)が出てくることがある、縫合糸膿瘍、傷が長くなる、ドッグイヤー(傷の両端が盛り上がる)、修正前より目立つ、テープかぶれ、自分が想像していた結果と異なるなどが考えられます。
※before & afterの画像は、参考画像であり効果や満足度は症例により異なりますのでご了承ください。
case2水疱瘡により凹んだ傷跡(眉間部の陥凹性瘢痕)の修正 :耳介軟骨移植
Before
Before
(眉間にシワを寄せた状態)
眉間部に丸く凹んだ傷跡を認めます。水疱瘡が原因で、組織が破壊され凹みました。このような場合は、失った組織を補充する目的で耳介軟骨を移植します。
~この症例の経過~
採取する耳甲介の軟骨は、耳の後ろから採取します。軟骨を移植し、脂肪弁でカバーします。
(眉寄せ)
(眉寄せ)
術後1カ月で、陥凹はほぼ改善しました。術後5カ月で、傷跡も目立たなくなりました。
耳甲介の軟骨を採取しましたが、耳の変形を認めません。傷跡も目立ちません。
◆リスク・副作用・合併症
【傷跡修正+耳介軟骨移植術】
内出血、腫脹、感染、傷の哆開(しかい;傷が開く)、瘢痕形成(傷の肥厚や陥凹など傷跡が目立つ)、瘢痕拘縮(引きつれ)、ケロイド形成、真皮縫合糸(中縫いの糸)が出てくることがある、縫合糸膿瘍、傷が長くなる、ドッグイヤー(傷の両端が盛り上がる)、修正前より目立つ、テープかぶれ、自分が想像していた結果と異なるなどが考えられます。また軟骨採取部は耳介後面・耳甲介(耳珠)に傷跡ができる、耳介の感覚鈍磨、疼痛、耳甲介もしくは耳珠の変形などが考えられます。
※before & afterの画像は、参考画像であり効果や満足度は症例により異なりますのでご了承ください。
case3
ニキビ跡(左頬の陥凹性瘢痕)の修正
:耳介軟骨移植/身体醜形障害(BDD)
Before
Before(「い~」の状態)
左頬の皮膚に凹みがありますが、さほど目立ちません。しかしご本人はとても気にされていて、毎日鏡を見て傷の確認をすること(確認行動)などから身体醜形障害(BDD)が疑われました。 凹みの原因はニキビ跡です。光の当たり具合によっては、お化粧で隠せず目立ってしまうこともありました。また「い~」をすると周囲の組織が引っ張られ、余計に凹みました。複数回のカウンセリングを行い、耳介軟骨移植を選択しました。
~この症例の経過~
採取する耳甲介の軟骨は、耳の後ろから採取します。軟骨を移植し、脂肪弁でカバーします。 |
術後4カ月後には凹みが改善され、線状の傷を認めます。1年経過すると、傷跡はほとんど目立ちません。
耳甲介の軟骨を採取しましたが、耳の変形を認めません。傷跡も目立ちません。
◆リスク・副作用・合併症
【傷跡修正+耳介軟骨移植術】
内出血、腫脹、感染、傷の哆開(しかい;傷が開く)、瘢痕形成(傷の肥厚や陥凹など傷跡が目立つ)、瘢痕拘縮(引きつれ)、ケロイド形成、真皮縫合糸(中縫いの糸)が出てくることがある、縫合糸膿瘍、傷が長くなる、ドッグイヤー(傷の両端が盛り上がる)、修正前より目立つ、テープかぶれ、自分が想像していた結果と異なるなどが考えられます。また軟骨採取部は耳介後面・耳甲介(耳珠)に傷跡ができる、耳介の感覚鈍磨、疼痛、耳甲介もしくは耳珠の変形などが考えられます。
※before & afterの画像は、参考画像であり効果や満足度は症例により異なりますのでご了承ください。
case4
黒子除去後に凹んだ傷跡(下顎部の陥凹性瘢痕)の修正
:耳介軟骨移植/身体醜形障害(BDD)
Before
After(1年後)
顎にあった黒子を他院で除去し、凹んだ症例です。他の人からは「気にしなくていい」と言われましたが、一日に何度も鏡をみるなど繰り返し行動を行っていました。身体醜形障害(BDD)が疑われ、複数回のカウンセリングを行い、耳介軟骨移植を選択しました。
~この症例の経過~
採取する耳甲介の軟骨は、耳の後ろから採取します。軟骨を移植し、脂肪弁でカバーします。
術後3週間はまだ赤く、従来のテープ固定だけでなくトラニラスト(傷の赤みを改善する内服薬)を処方しました。術後1カ月で、赤みと凹みはほぼ改善されています。術後1年経過するとほとんど目立ちません。
◆リスク・副作用・合併症
【傷跡修正+耳介軟骨移植術】
内出血、腫脹、感染、傷の哆開(しかい;傷が開く)、瘢痕形成(傷の肥厚や陥凹など傷跡が目立つ)、瘢痕拘縮(引きつれ)、ケロイド形成、真皮縫合糸(中縫いの糸)が出てくることがある、縫合糸膿瘍、傷が長くなる、ドッグイヤー(傷の両端が盛り上がる)、修正前より目立つ、テープかぶれ、自分が想像していた結果と異なるなどが考えられます。また軟骨採取部は耳介後面・耳甲介(耳珠)に傷跡ができる、耳介の感覚鈍磨、疼痛、耳甲介もしくは耳珠の変形などが考えられます。
※before & afterの画像は、参考画像であり効果や満足度は症例により異なりますのでご了承ください。